じたばた戦記

なぜかインドで働いてみた

不定期に更新されるじたばた戦記。傷だらけの転職人生を語ります。

第4回はなぜか突然インドで働きはじめた件について。いや自分でもなぜインドだったのか謎です。それまでインドにはまったく興味がなくて、旅行に行ったことすらなかったんですよ。何かに呼ばれたんでしょうかね?

第1回第2回第3回も読んでね!

小さな違和感

何回か転職を繰り返すうちに「自分はもしかして日本の企業に向いていないのかも」と思い始めました。何か決定的なきっかけがあったというよりも、ささいなことの積み重ねだったんだと思います。小さい違和感の連続というか。外資系企業やベンチャー企業といった、比較的緩い&人間関係もさほど厳しくはない企業で働きながらも、そう思ってしまったんですね。で、ちょっと海外で働いてみたいなと思いました。

とは言え、純ドメの田舎育ちジャパニーズですから英語力も大したことはありません。読み書きだけが得意なタイプで、英会話はうまくありませんでした。いやコミュ障気味で日本語での会話もうまくないのに、急に英語で会話ができるわけはないですね。年齢を重ねた今は、表面的に会話を楽しんでいるように取り繕うことだけはうまくなりましたが、やはり会話よりも読み書きしていたい感じです。そんな人間が海外で働けるのでしょうか?

なぜインド?

あと、貯金額も多くなかったので欧米で働くための初期費用(渡航費や当面の生活費)もありませんでした。だったらもう少し物価が安いところが良いとアジア圏をターゲットにして仕事探しをしていたのですが、そんなときにひょいとインドでの求人を発見。後からわかったんですが、その会社はベンチャー企業で採用費があまりなかったため、どこかの求人サイトに登録することはせず、自社サイト内でのみ日本人の採用情報を掲載していたそうです。それを偶然検索で見つけてしまったんですね。そういう人間は少なかったらしく、ライバルがほぼいない中でオンライン面接を経て無事内定を獲得しました。

求人サイトに求人情報を掲載していない会社の中には怪しい会社なども混じっているので、同じ手法を検討している方は要注意です。その会社に関する第三者からの情報も必ずチェックしてくださいね!

渡航手続きはするするとうまくいき、就労ビザも問題なく発行されて無事渡印することになりました。会社が空港への出迎えを手配してくれたり、会社で借り上げてくれた部屋に入れたりもしたのでスムーズにインド生活を始められたのですが。

インド生活のしんどさ

正直なところ、インド生活、しんどかったです。

しんどかったこと1:衛生
お腹が強いことが自慢の自分ですが、インドにいた頃はずーっとお腹壊してました。インドの中では都会のムンバイに住んでいたのですが、それでも当時は大分ひどかったです。お高めのパンを買ってきても1日置くとカビが生えたりとか、雨期の頃に道路の大きな水たまりにびっしり蠅が止まっていたりとか(一斉に飛び始めてぞわわわっとしたことが)。ただこれは10年以上前の話なので今は改善されていることを祈ります。

しんどかったこと2:英語
これは英語圏で働いたことのある人あるあるだと思いますが、3カ月ほど意思疎通ができませんでした(注:会社の公用語はヒンディー語ではなく、英語でした)。相手が何を言っているのかわからない。自分が何か言っても通じない。お互い英語を使っているのに。会社で置物みたいになっていて「なんでこんなところに来たんだろう……」と後悔したことも。でもあるとき、会議で社長から促され、たどたどしくも勇気を出してしゃべってみたら、「良い視点だね!もっと意見はないの?」とおもしろがってもらえ、そのときから自分の意見を他の社員の方たちからも傾聴してもらえるようになりました。言葉も大事ですが、内容が最重要ですね

しんどかったこと3:人との距離の近さ
元々コミュ障なので距離が謎に近いインド人との付き合い方に悩みました。会社の人たちはすごくよくしてくれてストレスがなかったのですが、ご近所の方からなぜか子守役認定され、小学生のお子さんが毎日遊びに来るのには困りました。毎回遊び相手にならないといけなかったのがしんどかったです。また、通勤に使っていたオートリクシャー(三輪タクシー、上の写真のやつです。都市によって色が違うんですが、自分が使っていたのも写真と同じ色の車両でした!)の運転手さんから突然「お前は俺の車に毎日のように乗っているから俺の上司のようなものだ。だからボーナスの時期にはボーナスをくれ」とねだられたりとか(インドではいろんな人からこういった謎の理屈を言われることが多かったです……)。

インド生活で良かったこと

でも、インド生活、自分にとってとてもためになりました。

良かったこと1:給与ががんがん上がる
日本だと昇給・昇進は年に1回という会社が多かったのですが、成果を出しさえすれば、1年に何度でも昇給・昇進できました(上司に恵まれた&ベンチャー企業でちょうど会社がどんどん大きくなっている時期だったおかげもあります)。自分だけが特別だったというわけではなく、成果を出した社員はみな同じだったので「真の成果主義ってこういうことか」と感動しました。

良かったこと2:リスニング力が爆上がりした
インド英語は癖があるのでリスニングが難しいです。2年ほど悪戦苦闘しつつ働いていると否が応でもリスニング力が身につき、アメリカ英語やイギリス英語がメインのTOEICのリスニング問題がすごく簡単に感じられるようになり、インドから帰国直後に受けたTOEICではスコアが900を超えました。

良かったこと3:インドの文化に触れられた
最初は「あくまでインドでは働くだけ」と思っており、インド文化には興味がなかったのですが、ボリウッド映画やインドの作家が書いた小説に触れ、インド文化に興味を持ち始めました。インドの布も素敵なので現地ブランドのお洋服を集めたりも。ヒンディー語の勉強も始めました

一言で言うといろんな刺激があって自分の世界が広がり、英語力だけではなく、生きる力も身についたインド生活でしたが、就労ビザの更新が難しくなったのと、ストレスも大きく片頭痛発作が頻発したこともあり、2年少しで帰国することになりました。

帰国後の日本国内の転職も比較的難しかったですね。面接でインドでの生活を話すとウケは取れたのですが、それが採用にはつながりませんでした。日本企業はどうしても「レールからはずれた人間をはじく」んだなあと思ったり。ただ、なんとか食いつなぎまして、その後、日本企業の正社員に戻ることになります。続く。

-じたばた戦記